ワイン入門を整理してみる|「なんとなく難しい」が少しずつ繋がってきた
ワインはアルコールの消費量の視点で見ると、お酒全体の約10〜15%ほど。
しかも長期的にはゆるやかに上昇しているようです。逆に言えば、まだ伸びしろの大きい分野とも言えそうです。
私は、ちょっとしたパーティーや、のんびり休暇を過ごしたい時など、非日常感や特別感を味わいたい時に飲む傾向があります。
以前、前職でソムリエ資格を持っている方と、カリフォルニア のワイナリーを訪れたことがありました。
その頃は、正直なところ「なんのことやらチンプンカンプン」でした。
ただ今回、この本を読みながら整理してみると、バラバラだった知識が少しずつ繋がってきました。
「葡萄は甘いので、糖分が発酵してアルコールになるためワインに最適」といった基本から、実際にワインを嗜む時に役立つ知識まで、かなりコンパクトにまとまった一冊です。
はじめに|ニューヨークを押さえるようにワインを押さえる
著者の考え方が面白かったです。
「もしアメリカのことを書くならニューヨークを押さえるように、ワインにも“押さえるべきポイント”がある」
つまり、全部を覚えなくても、
- 基本の品種
- 基本の産地
- 基本のボトル形状
このあたりを理解すると、ソムリエと対等に会話でき、自分の飲みたいワインも探せるようになる、という考え方です。ワイン専門誌「ヴィノテーク」の100回分のコラム連載をまとめるのに1年をかけたとのこと、これはオススメの良書です。帯には「ロングセラーが待望の新書化!」と書かれていました。
学んだことを少し整理しておくことにしました。
1. ワインを理解する5つのキーワード
1-1)赤ワインと白ワインの違い
非常に分かりやすかった例え。
- 白は酸味(塩)
- 赤は渋み(味噌)
白ワインがピアノ独奏なら、赤ワインはオーケストラ。
焼鳥で言えば「塩」と「タレ」の違い。
味噌が塩を含むように、赤ワインには白ワインの要素も入っている、という説明も印象的でした。
製法の違いもシンプル。
- 白葡萄:搾って液体だけ使う
- 赤葡萄:皮・種・果実ごと発酵
その後に搾るため、赤ワインには渋み(タンニン)が入ります。
ロゼは「浅漬けのお漬物」みたいな製法、という例えも面白い。
1-2)ブドウ品種|まずは基本4種類
赤ワイン系
- カベルネ・ソーヴィニヨン
ボルドー系。力強い。 - メルロー
同じくボルドー系。柔らかめ。 - ピノ・ノワール
ブルゴーニュ系。繊細。 - ガメイ
ボージョレ・ヌーヴォーで有名。 - シラー
スパイシー系。
白ワイン系
- シャルドネ
王道の辛口。 - リースリング
甘みがあり、中華やタイ料理に合う。 - ソーヴィニヨン・ブラン
国際品種。 - ゲヴュルツトラミネール
ドイツ系。「ゲヴュルツ」はスパイスの意味。
1-3)国別の特徴
新世界ワインの三銃士
- アメリカ
- オーストラリア
- チリ
特に印象的なのが「パリ試飲会事件」。
1976年、アメリカ建国200周年の年に行われたブラインド試飲会で、
- 赤:スタッグス・リープ
- 白:シャトー・モンテレーナ
がフランス勢を破って1位になりました。
いずれもカリフォルニアワイン。
ワイン世界の勢力図が変わった歴史的事件だったようです。
1-4)ボトルの形から味を予想する
これもかなり実用的。
赤ワイン
- ボルドー型(いかり肩)
→ どっしり系 - ブルゴーニュ型(なで肩)
→ 柔らか系
白ワイン
- ボルドー型(緑)
→ 辛口が多い - 透明ボトル
→ 甘口が多い - ブルゴーニュ型
→ シャルドネ系 - ドイツ型(細長い)
→ 半甘口系
シャンパーニュ型
ガラスが厚く重い。
1-5)ラベルの読み方
ラベルでは、
- 生産地区
- ヴィンテージ(年代)
- 格付け
を見る。
銘柄名は注文時に使うとのこと。
例えば:
- ロマネ・コンティ
- ロバート・モンダヴィ
- スタッグス・リープ
など。
2. ワインショップにて
まずはハーフボトルで試す
品種違いを少量ずつ飲むのがおすすめとのこと。
確かに、フルボトルだとハードルが高い。
印象に残ったおすすめワイン
赤
- イエローテイル・カベルネ・ソーヴィニヨン
ブラックベリー、チョコ、バニラ感。 - チリ:コノスル・カベルネ・ソーヴィニヨン:ボトルの形はボルドー型(いかり肩)
「困った時のコノスル」。渋みと酸味のバランスが取れているため、どっしり系ではないものの、安価で満足度が高いため、幸せな晩酌となるでしょう。 - マルケス・デ・カーサ・コンチャ
カシスやプラム感。 - ロバート・モンダヴィ・プライベート・セレクション・カベルネ・ソーヴィニヨン
- シャトー・ラ・ドミニク
- ジュヴレ・シャンベルタン
白
- チリ:コノスル・ゲヴュルツトラミネール
雑味が少なく飲みやすい。ラベルの自転車は、「自然のサイクルを尊重」というコンセプトだそうです(自動車ではなく自転車で畑のぶどうを収穫!?)。コノスルの総輸入元の会社のソムリエ資格保有者やワイン有識者がコノスル・ラバーズという何とも有り難いウェブサイトを運営しています。 - パヌール・シャルドネ
白桃や洋梨の香り。 - ロバート・モンダヴィ・プライベート・セレクション・ピノ・ノワール
- ロバート・モンダヴィ・プライベート・セレクション・シャルドネ
- ピュリニー・モンラッシェ
泡
- シャンパーニュ:ボランジェ・スペシャル・キュヴェ・ブリュット
3. レストランにて
覚えておくと便利な単語
- Vins(ワイン)
- Blanc(白)
- Rouge(赤)
- Cépage(品種)
- Terroir(テロワール)
シャンパーニュは「困った時の泡頼み」
食前酒として万能。
著者の表現では、
「貴族のビール」
これが妙に分かりやすい。
泡を見るポイント:
- 細かさ
- 多さ
- 上がる速度
シャンパーニュの有名どころ
- テタンジェ(Taittinger)
シャルドネ主体。繊細。ボランジェの反対 - モエ・エ・シャンドン(略称モエ:Moet & Chandon)
巨大生産者。 - ジェ・アッシュ・マム(G.H.Mumm)
- パイパー・エドシック(Peiper-Heidsiek)
- ルイ・ロデレール(Louis Roederer)
- ローラン・ペリエ(Laurent-Perrier)
- ヴーヴ・クリコ(通称クリコ:Veuve Clicquot)親会社のルイ・ヴィトンとのバッグとペアで広告
- ポル・ロジェ(Pol Roget)
- ボランジェ(Bollinger)
ピノ・ノワール主体。男臭いイメージ。 - クリュッグ(Krug)
高価でマニア向け。
また、
- プロセッコ(イタリア)
- カヴァ(スペイン)
も有名。
カヴァ(スペイン語ではカーバ)は、シャンパーニュへのライバル心から作られたとも言われ、基本的に辛口です。
食後酒と“ギルティプレジャー”
食後酒の世界も面白い。
- 貴腐ワイン
- ポートワイン
- グラッパ
- コニャック
など。
特に、
- チーズ
- チョコレート
と合わせると、かなり危険。
いわゆる “ギルティプレジャー(背徳感)” を味わえる世界です。
4. ホームパーティでの実践
- グラスは大きいほど香りが開く
- 高級品より数を揃える
- 冷凍庫で冷やすなら30分厳守
- 飲み残しも工夫次第で1週間保存可能
ワインクーラーに火鉢を使う、という古道具的アイデアも面白かったです。
5. 愛好家の心得
最後の締めも印象的でした。
- 騒がない
- 泥酔しない
- ワインの悪口を言わない
知識よりも、こういう姿勢のほうが大切なのかもしれません。
おわりに
以前は「難しそう」「敷居が高そう」と感じていたワインですが、
- 赤と白の違い
- 品種
- 国
- ボトル形状
- ラベル
このあたりを整理するだけで、一気に分かりやすくなりました。
そして何より面白いのは、ワインには
- 歴史
- 地理
- 気候
- 食文化
- 人の好み
が全部詰まっていること。
ボージョレ・ヌーヴォーのような気軽な新酒から、シャンパーニュ、貴腐ワインまで、世界はかなり奥深い。
少しずつ、自分の好みを探していきたいと思います。
作者の葉山さんはENOTECA onlineで色々な記事も発信されていますよ。
葉山孝太郎『30分で一生使えるワイン術』(ポプラ新書, 2015)


