本岡類さんの作品に出会って
ピアノ教室に通ってみたいな……と考えていた頃、偶然手に取った本が 『愛の挨拶』 でした。
タイトルは、エルガーの有名な曲「Love’s Greeting(Salut d’amour)」の日本語訳。
あの 「ソ#シソ#ファ#ミレ#ミラーラーラーシー」 の美しい旋律がすぐに浮かんできます。
ただ、この本は音楽小説というより、不法滞在のミャンマー一家を支援する人たちの姿が描かれた、社会的テーマを含む物語でした。
日常の風景からにじみ出る制度の問題や国境を越える人々の現実。
「どれだけ取材したら、ここまで書けるんだろう?」と驚くほど、背景がしっかり調べられています。
タイトルの響きが似ている「夏の魔法」
その後、もっと本岡類さんの作品を読んでみたい!と思い、手に取ったのが 『夏の魔法』。
『愛の挨拶』『夏の魔法』……
気づけばどちらも 「○○の△△」という二語のタイトルで、どこかノスタルジックでロマンチックな響きがあります。
タイトルのリズムだけで、物語にそっと寄り添う雰囲気があります。
表紙には 牧場と赤いトラクター。
「魔法って、どんな“魔法”なんだろう?」🤔と想像しながら読み進めました。
モデルとなった“本物の牧場”の存在
読みながら、牧場の描写に妙なリアリティを感じていました。
一般的な、機械化された牧場とは少し違っていて、
「こんな牧場、日本のどこかにあってもおかしくないけれど、フィクションなのかな……?」
と不思議に思っていたのですが、読み終えて驚きました。
実は 実在する牧場がモデルになっていたのです。
その牧場とは、蹄耕法を実践する斎藤さんの牧場。
斎藤さんの著書
- 『牛が拓く牧場』
- 『いのちの輝き感じるかい』
が、『夏の魔法』の土台になったとのこと。
また、Wedge ONLINE の記事
「牛が拓く牧場のオヤジ 自然に溶け込んで生きる」
でも、この牧場が詳しく紹介されています。
本岡さんは、この作品を書くにあたり実際に牧場へ足を運び、綿密な取材を重ねたそうで、
ここでもまた「さすが……!」と感心するばかりです。
次は「棋士探偵・水無瀬翔シリーズ」へ
本岡類さんには、棋士探偵・水無瀬翔シリーズという人気シリーズが4作あることも知りました。
次は、まず シリーズ第1弾 から読んでみようと思います。
どんな世界が待っているのか、今から楽しみです。
