ブログを書き始めてから、半年が経ちました。最初は「現在の記録」を残すことが目的でしたが、続けるうちに「過去とのつながり」を意識するようになり、いつの間にか歴史への関心が広がってきました。これもブログがもたらしてくれた新しい視点なのかもしれません。
家庭での会話から
この本の「はじめに ー人生の転機はこれからもやってくるー」に記されていたのですが、アメリカの家庭での会話から有名な例え話があります。父親が勉強しない息子に向かって言います。
「エジソンはおまえと同じ年齢で、すでに地下室で実験を始めていたぞ!」すると息子はこう返すのです。
「ケネディは、お父さんの年齢の時にはアメリカ大統領になっていたんだよ!」
人に説教すると、結局は自分に返ってくるもの。
日本風だと、
「湯川秀樹はおまえくらいの年で、すでに研究にのめり込んでたんだぞ!」すると息子はこう返すのです。
「もさ、お父さんの年齢のとき、伊藤博文はもう総理大臣やってたんだよね?」
という感じでしょうか。
これらの会話が教えてくれるのは「何歳になってもチャンスはある」ということなのですね。
年齢ごとの歴史人物メモ
気になった歴史上の人物を年齢ごとに整理してみました。こうして並べてみると、人生のターニングポイントは実に幅広い時期に訪れていることが分かります。
60代 ― 晩年に大きな花を咲かせた人たち
- 徳川家康
関ヶ原の戦いに勝利したのち、60歳で征夷大将軍となり江戸幕府を開く。その2年後、息子・秀忠に将軍職を譲り、世襲政治を開始しました。ちなみに、家康はその後も大坂の陣まで影響力を保ち続けます。 - 鑑真
失敗を重ねながらも、66歳でようやく日本へ渡航成功。聖武上皇の歓待を受けて東大寺に入り、その6年後には唐招提寺を創建。日本仏教に確かな礎を築きました。 - カーネル・サンダース
40歳でガソリンスタンド兼食堂を開始し、62歳で「ケンタッキーフライドチキン」を立ち上げます。晩年にして世界ブランドを作り上げた代表例ですね。
50代 ― 人生後半で挑戦を続けた人たち
- 西郷隆盛
征韓論争に敗れて故郷へ戻り、50歳で西南戦争を指揮。最後は敗れて自刃しますが、その生き方は今も議論を呼びます。 - ファーブル
48歳で研究・執筆生活を始め、56歳で『昆虫記』第1巻を刊行。全10巻を完成させたのはなんと84歳。生涯をかけた大仕事でした。 - 伊能忠敬
49歳で隠居した後、55歳から測量の旅へ。71歳まで続け、日本初の実測地図作成に結実しました。
40代 ― 輝かしい成果を残した人たち
- 松尾芭蕉
36歳で隠棲後、45歳で「奥の細道」の旅に出発。50歳でその紀行文を完成させました。旅と詩が人生後半を彩ります。 - 湯川秀樹
28歳で中間子理論を発表し、42歳でノーベル賞を単独受賞。敗戦からわずか4年後というのも驚きです。晩年には核廃絶運動にも尽力しました。 - 伊藤博文
明治維新後に改名し、44歳で初代内閣総理大臣に就任。最年少記録は今も破られていません。その後3度の首相を務め、韓国で暗殺されます。 - JFケネディ
29歳で政界入りし、43歳で史上最年少の米大統領に就任。冷戦下で指導力を発揮しましたが、在任中に暗殺されます。
30代 ― 独自の道を切り開いた人たち
- 手塚治虫
26歳でアシスタントを導入し、35歳で『鉄腕アトム』を制作。後には『やさしいライオン』を若き漫画家に任せるなど、新しい才能を後押ししました。 - ガウディ
31歳でサグラダ・ファミリア主任建築家に抜擢。独自のデザインで世界を驚かせ、40年余を費やしてライフワークとしました。 - 織田信長
37歳で比叡山延暦寺を焼き討ち。その前には桶狭間の戦いで今川義元を討ち、以降の天下布武につながります。
20代 ― 若さを武器に挑戦した人たち
- 太田道灌
25歳で江戸城を築城。この時の経験が後の江戸の基盤になります。 - 松下幸之助
23歳で松下電気器具製作所を創業。のちにナショナルからパナソニックへ成長しました。 - 長谷川町子
26歳で「サザエさん」連載開始。地方紙から朝日新聞へ移り、国民的漫画へ。 - ディズニー
19歳でアニメ制作に携わり、27歳でミッキーマウスを誕生させました。 - 樋口一葉
20代前半に雑貨店を営み、23歳で「たけくらべ」発表。翌年に病没。短い生涯に大作を残しました。 - 吉田松陰
25歳で松下村塾を主宰。尊皇攘夷思想を広めますが、安政の大獄で処刑されました。 - アインシュタイン
26歳で特殊相対性理論を発表。後年、72歳の誕生日に「舌を出した写真」で親しまれることになります。
10代 ― 才能が芽吹き始める時期
- 宮本武蔵
13歳で初めての決闘に勝利し、剣豪としての道を歩み始めます。その後「巌流島の戦い」で佐々木小次郎を破り、二刀流の剣法を確立。晩年には『五輪書』を著し、戦いの極意を後世に伝えました。 - ピカソ
15歳で展覧会に初出品し入選。すでに天才画家として注目されます。10代後半には「青の時代」に入り、社会の孤独や哀しみを描いた作品で独自の画風を確立していきます。 - 津田梅子
7歳でアメリカに留学し、帰国したのは17歳の時。英語力と新しい教育観を身につけ、のちに女子英学塾(現在の津田塾大学)を設立し、女子教育の先駆けとなりました。 - 美空ひばり
9歳で初舞台に立ち、その歌声で一躍話題に。10代半ばにはすでに「国民的スター」となり、映画やレコードで活躍。戦後の日本に希望を与える存在となりました。
一桁代 ― 幼少期から非凡さを示した人たち
- 一休
6歳で寺に預けられ出家。のちに奇僧と呼ばれ、禅の思想をユーモラスに伝えました。 - 津田梅子
7歳でアメリカ留学。帰国後は女子教育の先駆者となり、津田塾大学の基盤を築きます。 - ショパン
7歳でポロネーズを作曲。のちに“ピアノの詩人”と呼ばれ、世界中で愛される音楽家となりました。 - 美空ひばり
9歳で横浜の舞台に初登場。その後、日本を代表する国民的歌手として数々の名曲を残します。
もう一度、10代から整理してみました。
10代 ― 才能が芽吹き始める時期
- 宮本武蔵:13歳で初めての決闘に勝利。剣豪の道を歩み始める
- ピカソ:15歳で展覧会に初出品し入選。天才画家の名を世に示す
- 津田梅子:アメリカから帰国後も学び続け、女子教育の礎に
- 美空ひばり:10代半ばにはすでに「国民的スター」に成長
20代 ― 若さを武器に挑戦した人たち
- 太田道灌:25歳で江戸城を築城
- 松下幸之助:23歳で松下電気器具製作所を創業
- 長谷川町子:26歳で「サザエさん」を連載開始
- ディズニー:27歳でミッキーマウスを誕生させる
- 樋口一葉:23歳で『たけくらべ』を発表、翌年病没
- 吉田松陰:25歳で松下村塾を主宰、安政の大獄で処刑
- アインシュタイン:26歳で特殊相対性理論を発表
30代 ― 独自の道を切り開いた人たち
- 手塚治虫:35歳で日本初のTVアニメ『鉄腕アトム』を制作
- ガウディ:31歳でサグラダ・ファミリア主任建築家に就任
- 織田信長:37歳で比叡山延暦寺を焼き討ち
40代 ― 輝かしい成果を残した人たち
- 松尾芭蕉:45歳で「奥の細道」の旅に出る
- 湯川秀樹:42歳でノーベル賞を受賞
- 伊藤博文:44歳で初代内閣総理大臣に就任
- JFケネディ:43歳でアメリカ大統領に就任
50代 ― 人生後半で挑戦を続けた人たち
- 西郷隆盛:50歳で西南戦争を指揮
- ファーブル:56歳で『昆虫記』第一巻を刊行
- 伊能忠敬:55歳で測量の旅に出発
60代 ― 晩年に大きな花を咲かせた人たち
- 徳川家康:60歳で征夷大将軍に就任、江戸幕府を開く
- 鑑真:66歳で日本へ渡来し、唐招提寺を創建
- カーネル・サンダース:62歳でKFCブランドを立ち上げ
おわりに
こうして眺めると、人生の転機は6歳から60代まで幅広い年齢で訪れていることがわかります。
ジャーナリストの池上さんも書かれているように、歴史を動かす「人生の転機」は何歳でやって来るか分かりません。若くして名を残す人もいれば、晩年になってから花開く人もいます。
早熟な人もいれば、晩年に大輪を咲かせた人もいる。つまり、人生のターニングポイントはいつやって来るか分からないのです。
この視点を持って本を読むと、著者の人生やその前後の文脈に興味が湧いてきます。近々、芭蕉の『奥の細道』を読み直してみたいと思っています。
ブログは「いまを記録する」ものですが、それが「過去を振り返り、未来を考える」きっかけにもなることを実感しています。歴史人物の歩みを知ることは、これからの自分の生き方を考える上で大切なヒントになりそうです。
ブログを書きながら、こうした「歴史の時間軸」を自分の人生に重ね合わせてみるのも面白い学びになりそうですね。
池上彰 監修(2008)そのときあの人はいくつ?(小学館)
