初めての音楽鑑賞記事 🎶
このブログで音楽鑑賞について書くのは、実は今回が初めてです。
きっかけは最近読んだ「ChatGPT『超』勉強法」という本。内容自体は音楽に触れていなかったのですが、読み進めるうちに「AIや先生の役割って、音楽や美術の学びにも当てはまるよな」と考えるようになりました。
たとえば、生演奏を聴くことって、まさに“プロの先生から学ぶ”のと同じような体験。演奏者の表現や息遣い、会場全体の空気感──本や録音では伝わりにくいものを、コンサートホールではダイレクトに体感できます。
もちろん音楽鑑賞は生演奏に限りません。録音を繰り返し聴いたり、動画で演奏を見たり、いろんな楽しみ方があります。でもやっぱりホールでの体験は特別。音の迫力や観客との一体感は、そこに足を運ばないと味わえないものなんですよね。
クラシックとの再会 🎻
20年近く前、仕事で訪れたボストン。到着したその夜、せっかくだからとボストン交響楽団のコンサートへ足を運びました。けれど、時差ボケには勝てず……気づけば途中で爆睡。あのときの悔しさは今も忘れられません。
それから月日が流れ、数年前。高校の吹奏楽コンサートで久しぶりにクラシックの生演奏を耳にしました。その瞬間、胸に響くような感動を覚え「やっぱり生の音楽っていいな」と改めて実感したのです。
それ以来、心のどこかで「いつかプロのクラシック・コンサートに行ってみたい」と思い続けていました。そしてついに──その願いが現実に。
第5土曜日に出会った音楽 🎶
一年のうち、数回だけ巡ってくる「第5土曜日」。年に4〜5回しかない特別な日です。
今年の8月はちょうど5回土曜日がある月。残暑の厳しい日々の中で「よし、第5土曜日は生の音楽を聴きに行こう!」とふと思い立ちました。
早速ネットで調べてみると(便利な CONCERT SQUARE さんを活用)、気になるコンサート情報を発見。会場は横浜市青葉台区民文化センターのフィリアホール。「ヴァイオリンとピアノのデュオ・リサイタル」が予定されていました。
しかも、チケットは残りわずか!あわてて申し込みをしたところ、幸運にも無事にゲットすることができました。これはまさに「タイミングが運んでくれた出会い」だなと感じています。
予習してから臨むコンサート体験 🎼
一昔前では考えられなかったことですが、今ではYouTubeで同じ曲を別の演奏家が奏でる姿を手軽に聴けます。そして解説はChatGPTにお願いすれば、曲の背景やポイントをすぐに教えてもらえる。まさに便利な時代になりました。
今回のコンサートも、事前にYouTubeで何度か聴き比べをし、気づいたことをメモ。ちょっとした“予習”をしてから会場へ向かいました。
そして当日、会場で手にしたパンフレット。そこに掲載されていた音楽ライター柴田克彦さんによる PROGRAM NOTES には、また新たな視点や発見がありました。
せっかくなので、事前の自分なりのメモと、プログラムノートから得た気づきを合わせて整理しておこうと思います。
ブラームス◎「4つの小品」Op.119より 第1番:間奏曲 ●ピアノ・ソロ
・ドイツ・ロマン派の大家。死去する4年前の晩年の作品(最後のピアノ作品)
・「作品(Opus(オーパス))No.119」の中の第1曲。不協和な要素を含む奥深い1曲
・超絶技巧ではなく、むしろ内面の抒情や瞑想的な響きが特徴
・憂いを帯びた旋律(Wikipediaで譜面解説あり)
ブラームス◎「F.A.E.ソナタ」より スケルツォ
・F.A.E.(Frei aber einsam(自由にして孤独)
・ソナタ(Sonate(鳴る:楽器で演奏する音楽))
・ディートリヒ→シューマン→ブラームス→シューマンの作曲(4楽章)
・ヴァイオリニストのヨアヒムのモットー「自由にして孤独」が題材
・ヨアヒムがシューマン宅で寄贈
・各楽章はF・A・E(ファ・ラ・ミ)音を基本動機としている(Wikipediaに解説あり)
・ブラームスが担当した間奏曲は、後にしばしば単独で演奏されるように
・スケルツォ(scherzo「冗談」「戯れ」):軽快でユーモラスな性格の楽曲
・チャチャーン・チャチャーンの力強いで始まり、このリズムが繰り返される
シューマン◎ヴァイオリン・ソナタ 第2番 ニ短調 Op.121
・ドイツ・ロマン派の推進者。2曲のヴァイオリン・ソナタを作曲
・晩年に手がけた曲。全4楽章構成(約30分)
・ピアノ🎹とヴァイオリン🎻が対等に扱われており、協奏的な響き
・技術的にも難度が高く、感情の振幅が大きい
・シューマン自身「このソナタは“より大きな作品”として書いた」と語る
グリンカ/バラキレフ◎ひばり ●ピアノ・ソロ
・ロシア国民学派グリンカの歌曲「ひばり(Lark)」をバラキレフがピアノ独奏用に編曲
・春の到来を告げるひばりのさえずり🎶:春・希望・自由・郷愁の象徴
・まさにヒバリが空高く舞いながらさえずる情景が浮かぶように響く
・哀愁漂う旋律に華やかな装飾が施されていく
・リストの《愛の夢》やショパンの夜想曲と並びアンコール曲で演奏されるほど有名
チャイコフスキー◎懐かしい土地の思い出 Op.42
・ロシアの巨匠。ヴァイオリンとピアノのために書いた3つの小品からなる組曲
・メロディ→スケルツォ→メロディ(Wikipediaに解説あり)
プロコフィエフ◎ヴァイオリン・ソナタ 第2番 ニ長調 Op.94bis
・旧ソ連の大家。バイオリン・ソナタの定番。全4楽章
・bisはラテン語で由来で 「再び」「2度目に」 という意味。作品94の改訂・編曲版
・フルート・ソナタをヴァイオリン用に改作
・モデラート→スケルツォ→アンダンテ→アレグロ
待望のデュオ共演 🎻🎹
今回のコンサートは、ヴァイオリンの 周防亮介さん と、ロシア出身のピアニスト イリヤ・ラシュコフスキーさん のデュオ。フィリアホールの紹介文には、この共演は周防さんが長く熱望していたものだと記されていました。舞台に二人が並ぶ姿だけで、すでに胸が高鳴ります。
私の席は2階。見下ろす角度からは、ピアノの鍵盤を押さえる細やかな指の動きや、ヴァイオリンの弓さばきまでしっかりと目に入りました。その姿はただの演奏を超えて、音と身体が一体になった“表現”そのもの。
二人の高い技術と情熱がぶつかり合い、そして溶け合うことで生まれる独自の音楽世界──その瞬間を味わえたのは、本当に幸せな時間でした。
おわりに
自分で楽器を演奏することについては──それはまた別の機会に取り上げたいと思います。今回は「聴くことの楽しみ」に集中しました。
今回のプログラムの中で、ピアノソロ曲は譜面を見ながら追うことができますし、デュオ曲については、髙木凜々子さん(ヴァイオリン)と三又瑛子さん(ピアノ)の演奏が YouTube に公開されています。生演奏ならではの迫力と、オンラインで手軽にアクセスできる演奏の両方を組み合わせることで、音楽体験の幅がぐっと広がるのだと改めて感じました。ちなみにYouTubeの撮影場所は青葉台のフィリアホール。思いつきで調べて見つけたコンサートが、こうして馴染みの場所につながるなんて不思議なものです。音楽だけでなく、場所との出会いにもまた“めぐり合わせ”を感じました。