学生時代の吹奏楽部と音楽の本
としきおやじは、学生の頃に吹奏楽部に所属していました(ホルン奏者)。当時の思い出が今も心に残っていて、ときどき音楽にまつわる本を手に取ります。とはいえ頻度はそこまで多くなく、だいたい20冊に1冊くらいの割合です。
今回は、その中から初めて音楽関連の本について記事にしてみました。昔の自分を思い出しながら読むと、ページをめくるたびに音や空気までよみがえってくるようで、なんだか懐かしい気持ちになります。
「マンガで学ぶジャズ教養」を手に取ったきっかけ
今回取り上げるのは『マンガで学ぶジャズ教養』という本です。きっかけは、先日観たNHKの街角ピアノスペシャル「大江千里 ニューオーリンズを行く」。かつてポップスターだった大江さんが、今はジャズピアニストとして、ジャズの聖地・ニューオーリンズでピアノを弾いている姿がとても素敵で、心を動かされました。
ジャズ知識ゼロからの興味
私は吹奏楽部の経験はあるものの、「サックスやクラリネット、トランペット(ミュート付き)がジャズっぽいよね」くらいの認識しかなく、正直なところジャズファンでもなければ知識もゼロ。
それでも大江さんの演奏を見て、「最近のジャズってどうなってるんだろう?」と興味が湧き、ちょうど手元にあった『マンガで学ぶジャズ教養』を読んでみようと思ったのです。
本を手にする前のワクワク
「難しそう」「専門用語ばかりで挫折しそう」と思っていたジャズの世界を、マンガなら気軽に入っていけるかもしれない。そんな期待とともにページをめくり始めました。
今回は、ジャズの教養ということで、第3章「JAZZのルーツ 〜多様性と融合の歴史〜 に従って、ざっくりと整理してみました。
ジャズのルーツから現代までをざっくり整理
今回は「ジャズの教養」ということで、本の第3章「JAZZのルーツ 〜多様性と融合の歴史〜」に沿って、自分なりにまとめてみました。
アメリカから始まったジャズ誕生〜1930年代
・キング・オリヴァー:トランペット奏者。ルイ・アームストロングをシカゴに呼び寄せ、自らのバンドを強化しました。
・ルイ・アームストロング:トランペッター&ヴォーカリスト。ブルースの名曲「セントルイス・ブルース」を演奏。即興演奏のスタイルを確立し、“ジャズの父”と呼ばれる存在です。
・ベニー・グッドマン:白人クラリネット奏者。名曲「Sing, Sing, Sing」でオーケストラを率い、ジャズを大衆化しました。
モダン・ジャズ(1940から1960年代)
・チャーリー・パーカー:天才的アルトサックス奏者。コードに基づく即興のスタイルを築きました。
・マイルス・デイヴィス:パーカーのバンド出身のトランペッター。後に「Relaxin’」「Cookin’」「Workin’」「Steamin’」といった名盤を生み出したクインテットを率います。
・ジョン・コルトレーン:マイルス・クインテットで活躍したテナーサックス奏者。
・キャノンボール・アダレイ:アルトサックス奏者。シャンソン曲「枯葉」が大ヒット。マイルスと共演したセクステットでも有名です。
・ビル・エヴァンス:ピアニスト。同じ「枯葉」でもトリオで演奏すると全く違う曲に聴こえるのが印象的。
・アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ:代表曲「Moanin’」は来日時にも披露され、戦後の第一次ジャズブームを牽引しました。
ジャズの楽器は基本的にクラシックと同じですが、ドラムセットだけはジャズ特有なのだとか。編成もビッグバンドからトリオ、デュオ、ソロまで多彩です。
現代ジャズブーム(1970年代〜現在)
近年、日本でも注目を集めたのが映画『Blue Giant(ブルージャイアント)』。そこから現代ジャズへの興味がさらに広がりました。
・ロバート・グラスパー:キーボード奏者。「ブラック・レディオ」で注目され、大型フェス出演やスペシャルユニット「Dinner Party」で一躍有名に。2023年には雑誌『BRUTUS』の表紙で「Jazz is Pop」として特集されました。2024年に続編も出ています。
・カマシ・ワシントン:代表作『Heaven and Earth』は現代ジャズの傑作と呼ばれています。
ポップスとの融合が進み、オリジナルやモダンジャズとは違う音楽のようにも聴こえる現代ジャズ。でもその自由さこそ、ジャズの精神を受け継いでいるのだと感じます。
ちなみに、2023年5月には『AERA』にもジャズ・リテラシーの記事が掲載されたとのこと。電子書籍で読めるようなので、近いうちに目を通してみたいと思います。
日本のジャズとちょっとした勘違い
この本には触れられていませんが、日本にも独自のジャズ文化があります。たとえば、総合芸術集団ともいえる 「渋さ知らズオーケストラ」。大編成バンドなので「ジャズかな?」と思いきや、彼らはジャズではなくロックのカテゴリに属するようです(実際に2024年のフジロックフェスティバルにも出演しています)。
また、コロナ禍が落ち着いた2023年には 秩父ジャズフェス なるイベントも開催され、日本の今のジャズブームを支えていることを実感しました。
ジャズリテラシーを身につける
本書はジャズ評論家・後藤さんが監修しており、名盤や注目アルバムも多数紹介されています。歴史的背景から代表的なアーティスト、そしておすすめの音源まで幅広く網羅されていて、まさに ジャズリテラシーを高めるための一冊。
初心者でも楽しく読める構成で、ジャズに一歩踏み込みたい人にはとても心強い入門書だと感じました。
後藤雅洋 監修 飛鳥幸子 マンガ(2023)マンガで学ぶジャズ教養(扶桑社)
