好きなことを続けるために、頑張るなんて当たり前!ゆうりさんは、大学3年の春、20kg痩せるために、ランニングアプリ(NIKE RUN CLUB)をダウンロード。その8ヶ月後にハワイでノリでフルマラソンを完走、彼女は更に留学生サポートをきっかけに発したロスマラソンでマラソンの楽しさに目覚めました。就職活動を終えてからは、シカゴとバルセロナマラソンを完走!
就職して海老名に勤務。ここで彼女は田畑が広がる高層階オフィスからの眺めに愕然とします:
海老名は、ある程度「おしゃれで華やかなイメージ」がある街として知られています。特に以下のような要素がその印象をつくっています👇
1. 駅前の再開発と商業施設の充実
ChatGPT-4o 2025.7.12
2. 交通アクセスの良さ
3. おしゃれな住宅街の広がり
4. テレビ・映画のロケ地効果
海老名駅前の再開発により、高層ビルが忽然と姿を現したのが1995年。としきおやじは、1994年から6年間、海老名にある日本の化学会社の研究所に勤務していました(激変の本番であるビナウォーク開業の準備期間に遡ります)。2000年代前半に商業施設ビナウォークが開業し、タワーマンションや新興住宅が増え、おしゃれで華やかな活気ある街のイメージが出来ました。若者や家族連れにも人気で、郊外だけど都会感のある海老名の高層階オフィスに勤務し始めて直ぐに、田畑が広がる風景に愕然として直ぐに退職する新入社員が出るなんて高層ビルを設計・施工する建築家や開発関係者にとって「完成したビルの窓から見える風景が新人の退職理由になる」などとは、ほとんど想像の範疇を超えていると言えるでしょう。
彼女は退職後に1LDKの町田での暮らし始めます(その頃、私の住まいの最寄駅は町田駅でした)。彼女はが爪痕ならぬ足跡を残すため、世界でフルマラソンに参加する市民ランナーにインタビューをすることを決意し、Wordpressでブログを作り(現在はhttps://note.com/suzukyu0211)イスタンブールマラソンに備えました。ブログにインタビュー記事を投稿していくものの、協賛を付けて旅をしている人から「テレビ番組がお金をかけてやれば直ぐに出来ること」と彼女の心を折る*メッセージで打ちのめされます。
「働くか…」大学時代のバイト先に出戻り、町田から麻布十番のシェアハウスへ引っ越し、お金を貯め始めて、石油価格バグ*で新幹線より海外航空券が安い現象にも助けられて、いよいよ海外でのフルマラソンの怒涛の参加への道を歩み出しました。カウチサーフィン*でフランスの宿を確保するなど、彼女のマラソン本の世界にどんどん引き込まれたところで、ゆうりさんの写真が登場しました。
ゆうりさんは「世界を走るというハードルは世間が想像する以上に低く設定されている」と語っていますが、感染症のアウトブレイクや、齢を重ねるとともに体力が落ちていくことも考えると、20歳代で世界各地でのフルマラソンを経験されたことが何より素晴らしいと思いました。これは並大抵のことではなく、心を折られて、石油バグに助けられ、カウチサーフィンでも素晴らしい出会いをされたことなどは、運も大いに味方していると思います。
*心を折る:1987年に行われた女子プロレスの試合で「相手の心を折る」という戦略を語ったことに由来します。その後、この表現はスポーツ選手を中心に広まり、一般にも使われるようになりました。
*石油価格バグ:2020年4月、原油価格が史上初のマイナスを記録。これにより、原油関連コスト(航空燃料・物流)が一時的に大幅下落。一部の格安航空券では、ソウル・台北などの近距離国際線往復券が1万円以下で販売されることも。
*カウチサーフィン:世界中の人の家のソファ(=カウチ)や空き部屋に“無料で泊まらせてもらう”旅のスタイル、またはそれを仲介するホスピタリティ・サービスのこと。アメリカ横断のヒッチハイクと同様、安全性に注意が必要ですが、人の善意を利用する旅スタイルで、出会いと交流が旅の醍醐味
ちなみに、感受性が鋭い?理想が高い?タイプの人は彼女だけではありません。実はとしおやじも、世界に羽ばたきたくても羽ばたけない海老名の職場に違和感を感じ、2000年に離れて外資系の会社に転職したことで人生のテリトリが激変しました(コロナの数年間を除けば毎年の様に海外出張が続いています)。感情的な違和感は海老名駅前再開発の全体計画において“ノイズ”レベルにすぎなくても、駅前の再開発は様々な形でその地を離れる人の人生を激変させるといっても過言ではありません。
こんな人生もあるのかと感心、とても読みやすい本です、オススメです。
鈴木ゆうり(2023)わたし、世界を走ってます(徳間書店)